J.ドンジョンのサロン・エチュードよりエレジー

皆さま、こんにちは。

今日は、ドンジョンのサロン・エチュードより第一番「エレジー」を録画してYoutubeチャンネルにアップしてみました。

 

この曲は、「エチュード」(練習曲)ではありますが、演奏会などでも取り上げられたりする、曲っぽい練習曲だと思います。

サロン・エチュードの中には8曲入っていて、全てにタイトルがついていて、一曲目、二曲目にはフランス人詩人の詩の一部が書き込まれています。

「エレジー」には、J.リシュパンの詩”Le ciel est transi"(空は凍りつく)から、一部分が引用されています。 

引用されている部分を記します。

Dans i'air obscurci

Les feuilles dernieres

Roulent aux ornieres

Mon bonheur aussi!

薄暗い空気の中

最後の葉たちが

わだちの中へ転がり落ちていく

わたしの幸せもまた!


「空は凍り付く」の詩には、この引用した部分の前後があり、

Le ciel est transi  空は凍り付く

Sur la terre nue 裸になった地の上に

La neige est venue 雪(の季節)がやってきた

Sur mon coeur aussi 私の心の上にも

【上の引用箇所】

Il fait froid ici ここは寒い

Les cailles, les grives, ウズラたちも、ツグミたちも

Ont quitte nos rives わたしたちの河岸を去ってしまった

Ma maitresse aussi わたしの恋人(愛人)もまた 


エレジーとは、「哀歌」「悲歌」と訳されるもので、悲しみを歌った詩や楽曲のことを指します。

小さなエチュードですが、フランスのパリや北部の、雪の降る季節の、寒々しい、薄暗い空気感を想像します。雪の降るような凍えるような空気の中、最後の枯葉が木枯らしに吹かれてくるくると降り、舞い落ちて、わだちの上をくるくる転がっている様子を想像してみてください。詩の中の表現は、自分の幸せもまた枯葉のように干からびて転がっているということだと思いますが、何とも悲しいですね。

中間部分の少し明るくなるところは、恋人との楽しかった日々をきっと思い起こしているのでしょう。

野生のウズラは、寒すぎるところでは越冬できないので、南下するようですが、ネットで調べたら、ツグミは北緯60〜70°のシベリア北部からロシア極東で繁殖するとあって驚きました。北緯60°の位置にある国では、ノルウェーやスウェーデンがあります。北緯70°のシベリアはもっと寒いかと思います。

いずれにしても、野生の鳥が寒い冬に南下して冬を越すように恋人も去った、ということの中には、鳥たちが暖かくなったらまた戻ってくるようにまた戻ってきてほしいという願いもこめた詩なのかもしれないなと思いました。

最後までお読みいただきありがとうございました😊



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